5万円給付!住民税非課税世帯に
こんにちは。石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。
今年の秋に、住民税非課税世帯に5万円が給付されることが決まりました。
2年前にあった、全国民が1人10万円もらえる「特別定額給付金」と異なり、「住民税非課税世帯」が対象となります。
①そもそも住民税非課税世帯とは?
②どんな人が住民税非課税世帯となっているか?
③住民税非課税世帯になるための方法は?
以上、3点を解説いたします。
そもそも住民税非課税世帯とは?
住民税とは
まず前提として、住民税とは「住んでいる市町村に払う税金で所得割と均等割に分かれる」税金です。
ザックリとは
所得割:前年の(収入-経費-控除額)×10%
均等割:約5000円で定額
で計算され、支払う必要のある税金です。
住民税「非課税」とは?
「所得割」と「均等割」で非課税となる金額が異なります。
以前に住民税非課税世帯へ給付があった実績では「均等割」の非課税世帯を対象としていたので、今回もその可能性が高いです。
均等割非課税の金額は、住んでいる地域によって異なりますが、平均的な金額である石川県では、住民税上の所得が
単身者:42万以下
家族あり:(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)×32万円+29万円以下
が非課税となります。
例えば、4人家族の場合、4人×32万+29万=157万となる形です。
住民税非課税「世帯」とは?
世帯全員が住民税非課税の場合をいいます。
例えば、夫が事業をしていて前年赤字でも、妻がパートをしていて住民税がかかっている場合には、住民税非課税世帯とはなりません。
具体的には?
給料のみの場合は
「単身者は97万以下」
「4人家族の場合は235万以下」
の給料で対象となります。
年金の場合は
「単身者は152万以下」
「夫婦の場合203万以下」
です。
個人事業主の場合は
「単身者は、収入-経費(青色申告65万控除含む)が42万以下」
「4人家族の場合は、収入-経費が157万以下」
の場合に対象となります。
例として、単身者の場合は、収入300万-経費270万=30万という形になっていれば、42万以下のため、今回の給付の対象となります。
どんな人が住民税非課税世帯となっているか?
コロナ禍で職を失ったり、働いてもなかなか利益が出ず、苦しんでいる方が対象、というイメージがあるかと思います。
しかし、実態は支給される方の約8割が年金生活者です。
また、どれだけ所得(≒収入-経費)があるかだけを基準に決定されるため、例えば10億円資産があって働かずに暮らしている方にも支給されます。
さらに、例えば早期退職して、株式の売買益や配当だけで暮らしている方も、税金計算の仕組上、住民税非課税世帯の基準となる収入から株の売却益や配当を除くことができるので、今回の給付が受けられます。
非課税世帯になるための方法は?
今回の5万円給付をはじめ、住民税非課税世帯には、以下のような特典があります。
・大学無償化
・国民健康保険料の減免
・0歳から2歳児 保育料無償化
・高額療養費、高額介護サービス費の減額etc
これだけ特典がある中で「住民税非課税世帯の所得を少しだけ上回っている」という状況だったら、いっそのこと、非課税世帯になった方が得、と思う方もいらっしゃるかと。
住民税非課税世帯を決める算式の「収入-経費-控除」は、例えば「ふるさと納税」をするといった、意図的な節税はしづらい性質です。
ただし、以下の方法で非課税世帯になりやすくすることはできます。
世帯分離する
親子同居している世帯で、例えば親世帯は年金収入が多く住民税課税の所得。
子世代は単独だったら住民税非課税の所得という世帯の場合は、世帯を分離して、子世帯が住民税非課税となることができます。
また、夫婦でも、夫が住民税課税の所得。
妻が住民税非課税の所得であれば、実態として世帯が分離している状況の場合は、世帯分離することで、妻を住民税非課税世帯とすることができます。
扶養親族を増やす
例えば、年金収入が少ない親がいて、子世帯が扶養している実態があれば、扶養親族を増やすことで、「(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)×32万円+29万円」の算式の上限を増やし、非課税世帯となりやすくすることも可能です。
住民税だけでなく、所得税の節税にもきく見直しですので、検討の価値が大きい内容です。
まとめ
国が個々人の収入、資産を把握していれば適切な対象者にお金を給付することができますが、現在はそれができておらず、わかりやすい住民税非課税世帯への特典が増えています。
専門家から見ても違和感がある状況ですので、もう少し国にも税金の使い方を考えて欲しいです。
住民税非課税世帯への5万円給付に関して、お悩みがある場合は、石川県金沢市にある当税理士法人にご相談ください。
この記事を書いた人
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金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。
【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966
税理士 登録番号125179
【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
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