新聞、ニュースなどで
「老後に2000万円、年金以外に必要」
という報告書が話題になっています。

税理士、という仕事柄
クライアントの現役時代はもちろんのこと
引退後の話も考える必要があります。

報告書の原文を読んだ上で
その内容を税務の観点を入れて
自分の考えを記載できれば、と思います。

年金1

そもそも、何の報告書だったのか?

軽く報道だけを見ていると
「年金だけでは老後に生活できない」
という箇所が一番フォーカスされています。

しかし、そもそも報告書のテーマが
「高齢社会における金融の目指すべき姿とは何か」
という内容でした。

そして、報告書の構成として

① 現状整理(=事実を確認している箇所)

② 基本的な視点及び考え方(=事実をどう解釈するか)

③ 考えられる対応(=解釈した上で、どう行動すべきか)

という構成になっています。
「年金が足りない」という話は①現状整理で
サラっと触れているレベルの話です。

そして、話の流れとして
「年金だけでは足りないから
資産運用しようね」という流れにもっていくための
前提の話でした。

報告書が扱いたいテーマは金融の話であるため
年金の箇所は
例えば国民年金だけかけてきた世帯なのか
厚生年金で夫婦共働きの世帯なのかなど
場合分けがない
ざっくりした平均の資料です。

平均で高齢世帯の収入が年金含めて21万あって
支出が26.5万で月5.5万赤字のため
5.5万×30年で概ね2000万足りないのでは
という話が記載されています。

そもそも報告書が扱いたいテーマが
「金融」である以上
年金についてクローズアップされると
いくらでもツッコミどころのある報告書です。

前提として、年金だけで生活できる想定だったのか?

年金の制度設計は
老後の全ての支出をカバーできる額が払われるような
設計だったのでしょうか?

私は今回の報道があるまで
数字の把握ができていなかったのですが
国がモデルとする
夫が厚生年金、妻が国民年金の世帯では
「現役世代の平均手取り収入の5割
(=所得代替率50%)」の額が
年金として支給される試算になっています。

年金

なお、1949年生まれの
現在70歳の方は62.7%で
1984年生まれの35歳は50%なので
これも世代によって大きな差があり
また、現役時代の所得によっても差が出てきます。

それでも、ただ一つ言えるのは
「現役時代の手取りの概ね半分しか年金はもらえない」
ということです。

半分だと、なかなか年金だけで生活するのは大変かと。

今回の報道で
私もこの事実を知ったので
報告書の作成者が伝えたかった内容は別にして
年金を考える機会があったのはよかったな
と感じました。

そして今後
年金額がさらに減額することは自明です。

税理士目線の資産運用方法

報告書が言いたいポイントは
「年金だけじゃ生活できない」ということを前提に
「自助」、つまり自分でちゃんと貯えをしておいてね
ということが記載され
その方法として「資産運用」について
厚く述べられています。

かなり明確にとるべき行動が書いており

現役期 ⇒ 長寿化に対応し
長期・積立・分散投資など
少額からでも早いタイミングで資産形成の行動を起こす時期

と定義され、さらに
「リタイヤ期前後」「高齢期」にもとるべき行動の記載があります。

資産運用だけが
絶対的な回答ではもちろんないのですが
自助の一つの手段ですので
税理士目線で資産運用のオススメをいくつかできれば。

オススメ度1位:小規模企業共済

加入できるのが個人事業主か
従業員数が少ない会社の役員
という制約はあるのですが、メリットとして

① 掛金(MAX月7万)が全額、所得控除(≒経費)に

② 受取時に退職金扱いで、税制上有利

③ iDeCo、NISAと違い手数料がなく、また運用方法で悩まなくてよい

というメリットがあります。

デメリットとして
20年は加入しないと元本割れする
ということはあるのですが
そもそも年金が足りない
というところからくる資産運用なら
そこは受け入れて強制的に貯蓄する形でもよいかと。

オススメ度2位:企業型確定拠出年金(企業型DC)

iDeCoが個人単位で行う確定拠出年金なのですが
企業が制度として確定拠出年金をとりいれることができます。

メリットとして

① 給与から天引きする形になり、天引額は所得税、住民税の対象外に

② さらに、天引額は社会保険の対象外に

③ 受取時にも退職金扱いで税制上有利

というメリットがあります。

②の社会保険の対象外に
というのが最大のメリットです。

平均的な所得の方は
税金より社会保険の方がよっぽど多く払っており
年金も信用しきれないところがあるので
社会保険料が下がることは大きなメリットです。

一方、デメリットとしては
金融機関に払う事務手数料がそこそこかかる
ということが上げられます。

オススメ度3位:個人型確定拠出年金(iDeCo)

最近話題のiDeCoですが、メリットとしては

① 掛金(MAX月6.8万)が全額、所得控除(≒経費)に

② 受取時に退職金扱いで、税制上有利

というところがあげられます。

ただ、中小企業の経営者がiDeCoをするなら
企業型DCの方が社会保険料削減効果から
費用対効果が高いかと私見では考えています。

まとめ

年金の報告書から
オススメの長期的な資産運用を記載しましたが
いかがでしょうか?

資産運用、というのもリスクがあるものですので
投資先としてはリスクの少ない先で
その代わりに税や社会保険の削減効果を狙うのも
よい資産運用方法ではないかと考えています。

この記事を書いた人

野村 篤史税理士法人のむら会計 代表(公認会計士・税理士)
金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし
普通の税理士事務所+αのサービスを提供。

【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
賢い節税で会社を強くする方法教えます(月刊経理ウーマン 特集ページ) 
失敗しない「税理士」選びーここがポイントだ!!(月刊経理ウーマン 特集ページ)