【能登半島地震】事業者向け 3つの補助金・助成金と資金繰り支援策
石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。
能登半島地震に対応して、事業者向けの補助金、助成金、資金繰り支援策が何かないかと探している方に向けて、この記事を作りました。
この動画で分かることとして、まず、令和6年1月25日に政府から発表された『被災者の生活と生業支援のためのパッケージ』のうち、中小企業に強く関係する施策が分かります。
さらに、今回のパッケージ以外も含めて、お金をもらえるような補助金・助成金と、お金を維持するための資金繰りの施策に分けて、現状出ている中小企業支援策の概要が把握できるような内容となっております。
3つの補助金・助成金
小規模事業者持続化補助金(災害支援枠)
概要
まず、小規模事業者持続化補助金に能登半島地震に対応した災害支援枠が設けられます。
被災地である石川・富山・福井・新潟の小規模事業者等が行う販路促進に係る費用を補助する、という内容です。
今回の地震に限らず、小規模事業者持続化補助金は頻繁に募集していますが、災害支援枠ということで、被災地域限定で応募できる内容となっております。
概要として、申請開始は令和6年2月1日からで、補助率としては、2/3以内。
そして、補助上限が直接的に地震の被害を受けた方は200万円。
間接的被害を受け、売上が下落しているような方は100万円となっています。
対象事業者
対象事業者の要件1つ目は、『被災区域』に所在する、令和6年能登半島地震の被害を受けた事業者であることです。
さらに細かく分類すると、直接被害を受けた事業者と、間接被害を受けた事業者の両方とも対象となりますが、補助上限が異なります。
事業用資産に損壊等の直接的な被害を受けた場合、罹災証明が発行されていることを要件に、直接被害という区分になり補助上限が200万円になります。
次に、令和6年能登半島地震に起因して令和6年1月及び2月の任意の1ヶ月の売上高が前年同期と比較して20%以上減少した場合、間接被害を受けたという区分で、補助上限が100万円になりますが、災害支援枠という通常枠とは別の枠で申請が可能です。
そして、対象事業者の要件2つ目は、従業員数が少ない小規模事業者であることです。
具体的には
商業・サービス業:従業員5人以下。
サービス業のうち宿泊・娯楽業:従業員20人以下。
製造業その他:従業員20人以下
以上の事業者が対象となります。
災害支援枠で申し込んだ方が、通常枠より申請して通る確率が高いことが想定されます。
自社が直接被害か間接被害にあたらないか確かめることがオススメです。
対象経費
どんな経費が補助対象となるかですが、以下の具体例をご確認ください。
項目を見ると補助金をもらうか否かに関わらず、自社として営業活動する上で必要な項目が並んでいます。
経費をどちらにせよ払うようでしたら、うまく補助金も使って自己負担を軽く販売促進するのがオススメです。
上記具体例以外でも、大きく分けて以下の経費は補助対象となります。
小規模事業者持続化補助金のウェブサイトに詳細が記載されているため、自社で使えそうでしたらぜひウェブサイトを確認し、申請ください。
なりわい再建支援事業
「なりわい再建支援事業」という被災事業者が行う施設・設備等の復興費用を補助する施策が発表されました。
概要は補助率は最大で3/4。
補助額が石川県だと最大15億円。
富山・福井・新潟ですと3億円が上限と、とても大きな金額となっています。
こちら、『被災者の生活と生業支援のためのパッケージ』に名称の記載がありましたが、まだ詳細は出ていません。
イメージとしては、直接被害を受けた、工場・施設など、大型資産を再建するイメージを持ってもらえたらと思います。
なお、令和2年7月の熊本の豪雨の際にも、同じ名称の『なりわい再建支援事業』が出ていました。
類似の制度となることが想定されますので、以下パンフレットもご参照ください。
(R6.1.31追記)
石川県から、「なりわい再建支援補助金」をはじめとする各種支援策のQ&Aが発表されました。
こちらのリンクから入っていただき、「なりわい再建支援補助金」の内容をご確認ください。
公募の説明会も開催されますので、補助を受けられる可能性のある方は出席するとよいかと存じます。
(R6.2.12追記)
中小企業庁から、「なりわい再建支援補助金」のパンフレットが出されました。
こちらも参照ください。
北陸応援割
北陸応援割という、コロナの時期にあったGoToキャンペーンと類似した施策がなされます。
こちら、直接、中小企業にお金が入ってくる施策ではありませんが、人が北陸に集まり、経済が活性化されることが期待されます。
観光復興支援策として北陸に宿泊する方に対して、補助率50%、最大2万円/一泊が補助されます。
時期としては3月~4月のGW前までが想定されています。
なお、能登方面については、地震の被害が大きいため、現時点では観光復興支援策は出ていませんが、後日に補助率が70%の支援策がなされる報道もあります。
資金繰り支援
続きまして、資金繰り支援策を紹介します。
日本政策金融公庫 災害貸付
借入関係で、日本政策金融公庫の災害貸付が有利な条件で借入可能です。
以下が具体的な内容です。
利率が、標準よりも0.9%引き下げられます。
融資限度額は以下を参照ください。
「国民生活事業」が小規模な事業者向けで3千万を上限に融資が受けられます。
規模が比較的大きい中小企業だと「中小企業事業」の取扱となり1億5千万が融資の上限となっております。
日本政策金融公庫 新たに創設する特別貸付
次に、「新たに創設する特別貸付」が公庫から出される予定です。
『被災者の生活と生業支援のためのパッケージ』に記載がありました。
こちら、まだ詳細が出ていませんが、通常の借入と別枠で上限3億円が融資限度額となり、金利は災害貸付と同じく0.9%引き下げられた内容となります。
災害貸付が直接的な被害に対応するものでしたので、この新たに創設する特別貸付は、一定の要件は設けられるかと想定されますが、間接的に被害を受けたような事業者も対応するのではないかと予想しています。
(R6.1.31追記)
公庫から詳細が発表されました。
こちらのリンクから入っていただき、「令和6年能登半島地震特別貸付」の内容をご確認ください。
事前の予想の通り、間接的に被害を受けた方も対象となります。
通常の融資商品では借入を受けることが難しい方でも借入の可能性が広がるため、資金需要がある方はぜひご確認ください。
民間金融機関の対応
続きまして、民間の金融機関の対応は
①すでに存在する債務の返済条件の緩和・弾力化等を行う
②コロナ時期に借りた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の条件変更により生じる保証料をゼロに
③コロナ借換保証制度の利用時の計画提出が猶予される
という内容が『被災者の生活と生業支援のためのパッケージ』に記載があります。
いずれも平時よりは借入、借換時に優遇措置が受けられる内容となります。
税金の申告期限延長
税金の納付期限も延長されてます。
また、税金関係の申告書の申告期限も延長されてます。
過去の令和2年の熊本地震の際には、約8ヶ月納付期限延長がありました。
今回も相当の期間は期限延長がなされることが想定されますので、資金繰りが厳しい際は税金の払いを遅くすることが資金繰りの改善に繋がります。
社会保険料 納付期限延長
社会保険料についても納付期限延長されてます。
社会保険料は、自動引き落としの処理をしている会社がほとんどですが、1月末分より自動引き落としがまずストップします。
そして、払いたい場合は自主的に振込用紙を使って納付する形になります。
なお、資金繰りが厳しい場合は一旦は払いは遅らせる形で大丈夫ですが、注意点として、後日納付期限が決まった後には滞納はしないようにしましょう。
社会保険の滞納について、金融機関はとても厳しく捉えていて、新規借入が難しくなります。
滞納を発生させるくらいなら、金融機関に事前に相談して、できるだけ借入をしてでも納付することがオススメです。
まとめ
最後、まとめとなります。
色んな支援策が出ていますが、詳細がまだ決まっていない制度が多いのが現状です。
そのため、引き続き情報収集をして、有利な制度を使っていくことが大切だと考えております。
この記事を書いた人
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金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。
【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966
税理士 登録番号125179
【著書・掲載実績】
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