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今回は12月12日に発表された
「令和2年度税制改正大綱」の内容について触れたいと思います。
 
そもそも「税制改正大綱」と言われて
どんなものかイメージが湧きますでしょうか?
 
簡単にいうと
「与党が今後、どのように税制を変えようとしているかを公表した資料」です。
この資料に基づき国会で税制改正法案が提出され
税制が決定していきます。
 
令和2年税制改正
 
税金は法律に基づいて決められますが
その税の決定には「意図」であり「想い」がベースにあります。
どんな想いで、どんな人・企業を優遇していくか
税制改正大綱を見ると分かるところがありますので
法律自体を見るより、面白味がある資料となっています。
 
結論として
中小事業者に関わりがある大きな改正はない
というのが今回の改正にはなりますが
個別に見て
私がクライアントと話す中で話題に出たことがある内容について
ピックアップできればと思います。
 

個人向け:NISA、iDeCoの拡充 24年~(重要度:小)

現行の一般NISAの投資期間が2023年で終了になります。
それにあわせて、新制度のNISAが2024年からスタートする
という改正になります。
 
「老後2000万問題」もありましたが
国としてはできるだけ投資をすることで
老後に足りない資金を自助で賄って欲しい
という想いからの税制です。
 
新しいNISAの仕組みとしては
 
①リスクの低い投資信託などに対象を限定したMax20万の積立枠
②従来通りの上場株式など投資できるMax102万の枠
 
の2枠になり
原則として①に投資している場合のみ
②が使えます。
 
また、iDeCoについても
現在は原則60歳未満になっている加入可能年齢が
「企業型」は70歳未満、「個人型」は65歳未満まで広げて
ここでも投資を促している形になります。
 

個人向け:未婚のひとり親支援 寡夫控除見直し 20年~(重要度:中)

同じ一人親でも
「結婚歴がある」場合は税金上優遇を受けられたのに
「結婚歴がない」場合は優遇なし
という不公平が発生していました。
 
所得500万以下の未婚のひとり親を対象に
35万円を課税する所得から差し引くことが
2020年からできるようになります。
 
対象となる方が自社にいる場合は
「扶養控除申告書」等に正しく記載してもらい
年末調整の結果
優遇が受けられるようにしてあげてください。
 
また、同じ「結婚歴がある」状況でも
「男性」は所得制限があって優遇が受けれず
「女性」は所得制限がない
という不公平も発生していました。
 
こちらは、女性も所得制限500万を設けることで
不平等を解消しました。
さらに、所得から控除する優遇額も男女一緒になるよう調整が入りました。
 

個人・法人向け:居住用賃貸不動産 消費税還付防止 20年10月~(重要度:中)

居住用の賃貸マンションを建てる際に
通常は支払った消費税の還付は受けられないのですが
古くから通称「自動販売機スキーム」等
様々な方法を使って
消費税還付を何とか受けるための手法が考案されてきました。
 
近年は「金の売買を繰り返す」という手法で
無理矢理に還付をうける
ということがなされていました。
 
金還付
 
国が以前から問題視していて
今回の改正で消費税還付をできなくした
という形になります。
 
私の個人的な考えとしては
このような類い相談をされた際は
「法の趣旨として将来塞がれる手法のため
オススメしないが
どうしてもやりたいのであれば無理に止めはしない」
というスタンスをとっています。
 
今回は、20年10月以降に塞がれ
将来に影響する改正となりましたが
過去の税制改正の中で
過去に既に行った取引に遡って手法を否定する改正もあったからです。
 
法の抜け穴を使うスキームを相談された際はなかなか対応に悩みます。。。
 

個人向け:空き地の売買促進 20年7月~(重要度:中)

特に地方において
空き地が売却されずにそのまま放置されることが増えています。
空き地の売却を促進して有効活用して欲しい
という意図で優遇措置が設定されます。
 
具体的には
譲渡する年の1月1日において5年超所有している土地で
市長等からあまり使われていない土地であること
また、譲渡後の利用について確認をもらったら
売却額が500万以下であれば
土地の売却益から100万円を最大差し引いて税金を計算してよい
という措置です。
 

法人向け:交際費 年800万以下損金の延長 (重要度:中)

こちらは新たな税制ではないのですが
「中小企業であれば年間800万円までは交際費を経費できる」
という税制について
2年間延長されて2022年3月31日まで継続となりました。
 
元々、平成26年税制改正で
消費税率引き上げ後の経済活性化のために始まった制度ですが
引き続き飲食店等に対する需要喚起で経済が活性化できれば
という想いで継続となっております。
 

まとめ

今年の税制改正で
クライアントの皆様に必ず知っていただきたい内容
というのは少ない形になります。

例えば、「5G推進」「オープンイノベーション税制」「連結納税制度の改正」など
大企業が使いそうな税制でしたら
思い切った税制もあるのですが
中小企業向けに「これは使うべき」という税制がほぼない形です。

軽減税率制度の導入で全事業者に大きな影響があったので
一服置く、という意味合いもあるのかもしれませんね。

この記事を書いた人

野村 篤史税理士法人のむら会計 代表(公認会計士・税理士)
金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし
普通の税理士事務所+αのサービスを提供。

【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
賢い節税で会社を強くする方法教えます(月刊経理ウーマン 特集ページ) 
失敗しない「税理士」選びーここがポイントだ!!(月刊経理ウーマン 特集ページ) 
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