年末調整時に定額減税を漏れなく受ける方法

石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。

今年の6月から「1人当たり所得税3万円、住民税1万円」が減税される定額減税が実施されていますが、今回の年末調整・確定申告で手続きが完結します。

年末調整時に提出する書類について、経営者だけでなく従業員にもしっかりと記載いただかないと、減税されるはずだった税金を払うことになってしまうため、定額減税を受けるポイントについて解説します。

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そもそも年末調整・確定申告とは何か?

毎月の給与から税金が天引されているため、「なぜまた年末調整という煩わしいことをしなければいけないのか?」と疑問に感じたことがある方もいるかと思います。

実は毎月の給与からの税金の天引は多めに天引がされています。
年末には1年間の給与・賞与の実績が出て、本来払わなければいけない税金が算出できるので、多めに天引した税金を精算する手続きのことを年末調整といいます。
そのため、しっかり年末調整を行うことで払った税金が戻ってくるため、年末調整のポイントを抑えることは有用といえます。

なお、サラリーマン(給与所得者)は年末調整のみで1年間の所得税の手続きは完結しますが、給与以外にも事業による収入であったり、年金をもらっている方は確定申告をすることで1年間の所得税の手続きが完結します。
今回は、年末調整時に定額減税をしっかり受けるポイントに絞って解説します。

いくら定額減税が受けられるか

最初に結論をおさえると、条件を満たした場合に

①会社から給与をもらっている本人(納税者本人) 3万円
②同一生計の配偶者 3万円
③扶養親族 1人につき3万円

の、①~③の合計額だけ所得税から減税されます。

例えば「サラリーマンの夫、主婦の妻、子2人」という家庭だったら条件を満たしたら「夫3万+妻3万+子3万×2人=12万」だけ、減税がなされるよう年末調整書類を書きます。

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会社から給与をもらっている本人分の定額減税を受ける方法

ここから具体的な年末調整書類の書き方を説明します。本人分として「給与所得者の基礎控除申告書」の収入金額を忘れずに書きましょう。

給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書の左サイドに記載があります。

「収入金額」と「所得金額」は実は異なります。
「収入金額」はいわゆる額面の年収で、「所得金額」は収入金額より小さい税金対象となる数値です。

例えば、年収300万の場合は「収入金額」を3,000,000円と記載して、所得金額は給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書の2ページ目右サイドの「給与所得の金額の計算方法」を見て、2,020,000円と算出する必要があります。
ただ、現実的には、少しハードルが高いところがあるかと思います。
その場合は、収入金額だけは間違えずにしっかり書きましょう。

収入金額の記載さえあれば、会社の経理担当者や税理士事務所の方で所得は算出してくれるはずです。
そして、給与収入が2000万円以下の場合、本人分の定額減税が受けられます。

同一生計配偶者分の定額減税を受ける方法

次に配偶者分ですが「給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 定額減税のための申告書」に配偶者の情報を記載する必要があります。

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こちらの書類は給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書の右サイドに記載があります。

氏名や生年月日等は記載いただくとして、こちらも配偶者の収入金額だけはしっかり記載しましょう。
配偶者の給与収入が103万円以下の場合、配偶者分の定額減税が受けられます。

扶養親族分の定額減税を受ける方法

最後に子供など扶養親族分の定額減税を受ける方法です。

給与所得者の扶養控除等申告書」に子供の情報を記載する必要があります。
扶養控除等申告書のB欄に16歳以上の子供の名前、生年月日、所得の見積額を記載する欄があります。

扶養親族分は、本人や配偶者の書式と異なり給与収入でなく所得の見積額しか書く欄がありません。給与収入に応じて以下の表の

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所得の金額を記入ください。

例えば年間50万の給与収入の場合は1円~550,999円以下のため、0円。
年間100万の給与収入の場合は551,000円~1,618,999円以下のため、450,000円となります。

所得の金額が48万以下だったら定額減税の対象となるため、分かりづらい箇所ですが、しっかり記載ください。

また、16歳未満の扶養親族は給与所得者の扶養控除等申告書の下部の「住民税に関する事項」に氏名、生年月日、住所等を記載します。

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なかなか16歳未満で働いている方は少ないかと思いますが、もし収入があったら所得を書く欄があるので先述の方法で計算して記載ください。

まとめ

今回は年末調整時に定額減税をしっかり受ける方法を解説しました。書類をしっかり書いて、ぜひ適切に減税をうけましょう。

石川県で定額減税にお悩みの方は、石川県金沢市にある当税理士法人にお声がけください。

この記事を書いた人

野村 篤史税理士法人のむら会計 代表
金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。

【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966 
税理士 登録番号125179 

【著書・掲載実績】
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