税理士が語る、よい節税・悪い節税。節税の仕方を誤ると貧乏になる。

こんにちは。石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。

税金を払うのは、ほぼ例外なく誰もが嫌な気持ちがします。
税金をビジネスにしている私ですらそう思うのですから
経営者が税金に嫌悪感を持つのは当然でしょう。
せっかく頑張って1年間稼いで作った現金が減るのですから。

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しかしながら、税金を払わないとお金は貯まらないという事実があります。
節税とお金の関係についてまとめます。

節税手段の90%の事実

税理士は節税を期待される立場のため
世の中の大抵の節税手段は耳にしています。
数多くの節税手段を知った上で、節税には1つの事実があり
「節税手段の90%以上はお金の支出を伴う」
ということがあります。

節税をすることで、税金の払いが少なくなるため
お金が貯まるというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
節税を行うと、90%以上の確率でお金は減ります。

数値でロジックを確認していきましょう。

お金が貯まらないロジック

税金は「収益 – 費用=利益」の利益に対して課されるものです。
利益が100万円あり、現金も100万円あった場合で、パターン分けして解説します。

節税2

<パターン1:節税しないケース>

利益・現金が100万円あり、節税しない場合は現行の税率でざっくりいくと
利益100万円×35%=35万円の税金がかかります。

結果として、現金100万円- 税金35万円=65万円だけお金が残る計算になります。

<パターン2:節税したケース>

利益・現金が100万円あるので、お金を100万円支出して費用を作り
利益100万円 – 費用100万円=0円の利益にします。

すると税金は、利益0円×35%=0円となります。
パターン1だと35万円の税金が発生していたので
100万円支出して35万円節税に成功したことになります。

しかし、パターン1だと65万円残っていたお金
現金100万円 – 支出100万円=0円と
パターン2だと0円で、全く残っていません。

借入返済の罠

お金が貯まらないロジックは当たり前のようですが
いざ経営していると、わからなくなってきます。

「今年は利益が出すぎたから税金をこんなに払わなきゃいけない」
と残念がる経営者様も珍しくありません。

しかし、無理に節税して税金を払わないと
借入金を返済できない、という事態に陥ります。

意外に認識されていないところで
「借入金の元金の返済は費用にならない」からです。
銀行から借入をした際に借入額が利益になり
税金がかかったということはありませんよね?
返済はその逆のため、費用にならないのです。

例えば借入金の元金返済を20万円として、先ほど見たロジックに追加すると

<パターン1>

残っているお金65万円 – 返済20万円=45万円が最終的に残るお金

<パターン2>

残っているお金0円 – 20万円=△20万円
となり、利益は0円ですが、現金が20万円減る結果となります。

このように、利益が出たからといって税金を払わないように節税すると
大半の会社は借入金があるので、お金が減る結果となります。

よい節税の考え方

節税したらお金が増えないなら、節税しなければよいのでしょうか?
それはまた違います。
例えば以下の節税をすればいいのです。

  • お金を支出しない節税をする。
  • お金を支出しているが費用にできていないものを、費用にする。
  • 費用にするタイミングを調整することで、税金の発生を抑える。

もうここまでくると、日頃事業に注力している経営者には難しいので税理士の出番です。
しかし、節税【だけ】にしか精通していない税理士だと
これまで書いてきたような考え方がわからず
結果的にお客様の会社の資金繰りを悪化させます。

節税だけしかできない税理士ではなく
会社の状況を見て、節税すべきタイミングを判断できる税理士をパートナーにすることが
経営においても重要な要素となります。

石川県で、節税対策に悩んでいる方は、石川県金沢市にある当税理士法人にお声がけください。

この記事を書いた人

野村 篤史税理士法人のむら会計 代表
金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。

【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966 
税理士 登録番号125179 

【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
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