融資を引き出すためのチェックポイント
こんにちは。石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。
前回のニュースレターでも告知いたしましたが
公庫の融資担当者に、のむら会計に来ていただき
弊社のお客様が融資をうけられるか
直接事務所で相談できる
「1日公庫」を定期的に開催しています。
今月も融資に関連して
「金融機関が融資をする際に何を見ているか」について
実際に公庫の担当者から聞いた内容をベースに記載いたします。
経営においては
「ヒト、モノ、カネ」の3つが大切です。
その3つの視点に分けて
チェックポイントを記載するので
ぜひ自社に当てはめてみてください。
ヒト
決算数値だけを見て
融資の可否が決定されている
と思いがちですが
「経営者自身の人柄=ヒト」についても
金融機関は大事にしています。
実際に私が前職で金融機関監査をしていた際も
融資書類には人柄が必ず記載されていて
融資の可否を判断する評点に加味されていました。
○信頼性
正直かどうか、信頼できる人物であるかは融資において重要な要素です。
○謙虚さ
他人の意見を聞く姿勢はあるか。
○決断力・責任感
迅速な決断を行っているか、失敗の言い訳を他人に転嫁していないか。
○数値が読めるか
決算の内容・総括と今後の見通しを自分の言葉で説明できるか。
⇒中小企業が存続するかどうかの大部分は経営者で決まります。
金融機関との面談時は経営者の資質を見極められていることを意識しましょう。
モノ
本業で売っている製品(商品)に関してです。
決算書にはどこにも表れない部分ですので
しっかりと自社の魅力をアピールしましょう。
○製品(商品)力
市場に受け入れられる独自性の高い製品(商品)があるか。
○技術力
他社と比べてどの点が優れているか、また、それが受注につながるか。
○サービス
他社とどこが違うのか、従業員の能力はどうか。
○販路
どうやって販路を開拓したのか、今後も継続して開拓できるか。
⇒審査項目になっていることを意識し
面談時に答えられるよう準備しましょう。
経営者がしっかり説明できると融資が通りやすくなります。
カネ
最後にカネ=決算書のポイントです。
やはり決算書はとても大事な部分であるため
細かく「売上高」「利益」「自己資本」「借入金」に分けて
ポイントを記載します。
売上高
金融機関としては
企業の規模を大まかに把握し
他の勘定科目の数値を見るときの基準にしています。
また、売上の仕組み・お金の流れから事業内容を把握します。
〔金融機関が知りたいポイント〕
・誰に何を売るのか?売上計上のタイミングとその回収手段
・主な取引先と、取引先別、月別の内訳
・複数の事業、店舗を営んでいるときはその内訳
利益
企業にとっては維持・発展の原動力であり
金融機関にとっては主たる返済財源です。
利益だけでなく資金繰りに注目するため
「利益+減価償却費」で計算されるキャッシュフローを重視します。
〔金融機関が知りたいポイント〕
・赤字の場合は、その理由と今後の方針。経営者としての考えを聞きたい。
自己資本(=資産-負債)
決算書の資産・負債だけでなく
金融機関は経営者個人の資産・負債も合算して検討します。
そのため、会社としては苦しいが個人資産が多い場合は、個人資産をアピールしましょう。
なお、資産が大きければ有利なはずと
会計事務所に
「実際にはもう回収できない資産を損に落とさず計上したままにして欲しい」
と依頼を受けるケースがあります。
長く決算書上で動いていない項目は
金融機関側で資産性がないと自己資本の計算から除外されるため
やはり適切なタイミングで損にして
節税メリットの方をとることをオススメします。
〔金融機関が知りたいポイント〕
・経営者個人の資産、負債
・債務超過の場合は、なぜ存続できたのか
借入金
借入金の総額が過大でないかに着目します。
① 借入金回転期間:借入金÷売上高
② 債務償還年数:借入金÷(利益+減価償却費)
などの指標を用いて、借入が適正水準か確認します。
〔金融機関が知りたいポイント〕
・借入金残高の内訳、明細(借入先、借入時期、借入金額、返済条件など)
・メインバンクはどこか
・「返済金>返済財源」になっているか
まとめ
「融資を引き出すためのチェックポイント」はいかがでしたでしょうか?
定量情報(決算書など数値で表される情報)だけでなく
定性情報(数値で表せない、経営者の人柄、製品の魅力など)も必ず融資に加味されます。
定性情報は
経営者への質問を基に審査書類に記載されるため
有利な情報は積極的に融資担当者に伝えましょう。
また、石川県で、融資について悩んでいる方は、石川県金沢市にある当税理士法人にお声がけください。
この記事を書いた人
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金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。
【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966
税理士 登録番号125179
【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
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