起業時の借入金。600万と200万で破綻しやすのはどっち?

こんにちは。石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。

起業時の借入金として、いくら借りるべきか誰もが悩むところです。
必要最低限の借入がいいのか、それとも余裕を持って借入した方がいいのか。

起業 借入

起業時の借入でおすすめの考え方をまとめました。

借入をして破綻するのはなぜか?

前提として、どういった場合に借入をして破綻するのでしょうか?
結論から先に言いますと

借入本数が多くなり、毎月のキャッシュアウトが大きくなりすぎた時に破綻します。

破綻の原因は借入金の総額でなく、借入本数にあるのです。
わかりやすく事例を極端にした例で見ていきます。

<パターン1>
起業時の借入で600万円、4年間の返済期限で借入。
この時の毎月の返済は

600万円÷48ヶ月=12.5万円

<パターン2>
起業時の借入で200万円、4年の返済期限で借入。
1年後に資金不足で200万円借入、信用力が落ちたため借入期間は3年に。
その1年後に再び資金不足で200万円借入、銀行サイドもリスクを減らすために借入期間は2年に。

この時の毎月の返済は

200万円÷48ヶ月=4.1万円
200万円÷36ヶ月=5.5万円
200万円÷24ヶ月=8.3万円

合計が18万円になります。

借入総額としては600万円で同じですが
毎月の返済額が5.5万円、比率にして44%も増加するのです。
さらに、パターン2のように短期間に資金不足の度に銀行へ行くと
「資金繰りが下手な社長」と見られ、利率も上がります。
利率程度だったらまだよいですが、借入そのものができないという自体も起こりかねません。

少し極端な例を出しましたが、日常生活に置き換えると

2,000万円の住宅ローンを35年返済で借入しても破綻しないが
カードローンを500万円数本に分けて借入すると破綻する

のと似たようなロジックです。
借入による破綻を避けるためには

  • 借入額は余裕を持って大きく
  • 返済期限は多少の利息の上乗せをのんでも長く

以上が原則となります。

起業時の借入のみに適用できる日本政策金融公庫の創業融資

話を起業時の借入に戻して、日本政策金融公庫では創業時に限り驚くべき商品があります。
「無担保・無保証で長期間の融資が受けられる」商品です。

起業時の借入2

無担保・無保証ということは、仮に事業に失敗して会社をたたむことになっても
個人財産には手が及ばないという意味です。
社長はいざという場合にも、出資金のみ失うだけでそれ以上のリスクは負う必要はありません。

そのような融資を、創業時には過去の実績が出ていないのにも関わらず
「創業計画書」などの一部の書類だけを見て、信用で融資してくれます。

起業から1年後、事業の実績が出た後では無担保・無保証の融資は簡単には下りません。
銀行はなにより実績の数値を大事にするからです。
そのため、起業時のみの特別な商品ということができます。

おすすめの利用法としては

  • 最低限必要な融資額より、余裕を持って多めに融資してもらう
  • 借入期間も伸ばせるだけ伸ばす。

後々で資金不足で苦しみ
本業の実績を伸ばす施策を打ちながら、同時に金策に走るより
創業時に有利な借入で余裕を持って事業運営した方が楽です。

低金利の時代ですので「低い金利で安心を買う」という意識で借入するとよいでしょう。

まとめ|起業時における借入額のポイント

(誤った借入)

たくさん借入するのはなんだか怖いため最低限の借入を実施する。

(おすすめの借入)

最低限より余裕を持ち、多めに、たとえ利率が上がっても長めの借入をする。

石川県で、借入額について悩んでいる方は、石川県金沢市にある当税理士法人にお声がけください。

この記事を書いた人

野村 篤史税理士法人のむら会計 代表
金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。

【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966 
税理士 登録番号125179 

【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
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