石川県賃上げ環境整備助成金 ~先に設備投資していても事後的に適用可能!~
石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。
最低賃金の大幅な引き上げに伴う県内中小企業の経営負担を軽減し、今後の賃上げに向けた環境整備を目的として、『石川県賃上げ環境整備助成金』の募集が開始されました。この助成金は、生産性向上や収益力強化に繋がる新たな取り組みを支援するものです。
過去から、県の助成金は国の助成金より受給がしやすく、また、助成対象事業も広い傾向があり使いやすい制度となっています。以下では、本助成金の概要と主な申請要件について解説いたします。
1.事業の目的
石川県の最低賃金は、令和7年10月8日に過去最高となる70円の引き上げが行われ、1,054円になります。県内中小企業が今後の賃上げに向けた生産性向上、収益力強化に資する環境整備のために行う新たな取組(ITシステム導入や従業員のスキルアップ研修等)に要する経費の一部を助成するものです。
2.助成対象者及び対象事業
以下の(1)から(3)の要件をいずれも満たす事業者が対象です。
(1)中小企業者(小規模事業者含む)であること
業種ごとに従業員数等で中小企業者・小規模事業者(個人事業主含む)であるか否かを判断します。
⇒多くの中小企業はこの要件にあてはまります。

(2)県内事業所で勤務する従業員(正規又は非正規労働者)の賃金について、以下の要件を満たした賃上げを行っていること
①従業員の賃上げ前の時間当たりの賃金は、984円~1,034円の範囲内であること(一人でも対象となる従業員がいれば申請可)
②令和7年4月1日~令和7年12月31日の期間で、時間当たりの賃金を70円以上賃上げすること(2段階以上での賃上げも可)
③従業員の週所定労働時間は20時間以上であること
④賃上げ後の賃金水準を1年以上継続する見込みであること
⇒最低賃金の引き上げに伴い給与変更している場合、あてはまることが多いかと思います。②に記載があるように4月以降の賃上げが対象で、2段階以上の賃上げも可であるため、既に賃上げしているケースで、あと少しで助成金対象となる場合は、再度の賃上げで要件を満たすことも可能です。
(3)生産性向上、収益力強化を目指すための事業に新たに取り組むこと
交付申請書に記載された、石川県内に所在する事業所に係る、生産性向上・収益力強化に資する新たな取組が対象となります。
「同一内容の事業について、国や県等が助成する他の制度と同一または類似内容の事業」でなく「賭博等、性風俗関連特殊営業等」でないことを前提に具体的には次のような取り組みです。

⇒幅広い事業が助成対象となるため、賃上げ要件を満たす見込みがある場合は、ぜひ対象の支出がないかを検討しましょう。
なお、意外な項目だと「車両購入費」も対象となります。上限50万円、申請台数の上限は1社につき1台限りで、車両購入費のみによる申請はできず、他の経費も申請対象に含めることが必要という制約はありますが、車両を購入することでも助成金が出ます。
また「パソコン」も助成金の対象となります。パソコン、事務用プリンター、複合機、タブレット端末、テレビ、スマートフォン、カメラ、PC周辺機器については、いずれか 1 台のみを助成対象とし、 助成額の上限は10万円という制約はありますが、「パソコン」が助成金対象となる制度は少ないため、とても使いやすい制度かと思います。


3.助成内容(助成率・上限額)
助成上限額:100万円
助成率:中小企業:3/4、小規模事業者:4/5
⇒中小企業は約133万、小規模事業者は125万の事業を実施すると、上限の100万円を受給できることになります。
4. 助成対象期間
令和7年4月1日以降から最長で令和8年2月9日(月)までに実施されたものが対象となります。
⇒既に実施済みや着手済の事業も助成要件を満たしていれば対象になるため、繰り返しになりますが、賃上げ要件を満たす見込みがある場合は、4月1日以降に既に支出した経費を含めて、今後、支出する経費が助成金の対象となりそうか確認しましょう。
5. 申請期間
申請受付開始日: 令和7年10月17日(金)
申請受付締切日: 令和8年1月16日(金)(当日消印有効)
⇒既に申請受付がはじまっています。受付締切日は来年1月中旬であるため、賃上げ要件が満たせそうであれば、受付締切日に間に合うように申請をしましょう。
まとめ
石川県独自の助成金である「石川県賃上げ環境整備助成金」について解説しました。助成金は「先に自己負担で支出して、後日に助成金がもらえる」という仕組みのため、一定の自己資金は用意する必要があります。また、取得価格が50万円以上の機械やシステム等を取得した場合、取得から5年間は処分に制限があったりと制約も伴うものです。
一方で、最低賃金の上昇に対応するため、やむを得ず賃上げし、経費の支出も助成金の有無に関わらず必要なものであり、それを助成金対象とできたら、純粋に助成金をもらうことでキャッシュフローが改善しますので、ぜひ今回の助成金がもらえるかご検討ください。
石川県で「石川県賃上げ環境整備助成金」にお悩みの方は、石川県金沢市にある当税理士法人にお声がけください。
この記事を書いた人
- 税理士法人のむら会計 代表
 - 
金沢で60年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。
【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966
税理士 登録番号125179
【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
賢い節税で会社を強くする方法教えます(月刊経理ウーマン 16年10月号 )
失敗しない「税理士」選びーここがポイントだ!!(月刊経理ウーマン 18年8月号)
決算期を過ぎてもできる節税策ー4つの着眼点ー(月刊経理ウーマン 20年5月号)
社会保険料の会社負担を減らすための、アノ手コノ手を教えます(月刊経理ウーマン 23年9月号)
小規模企業共済のメリット&デメリット(月刊経理ウーマン 24年2月号) 
最近の記事
経営ワンポイント2025年11月4日石川県賃上げ環境整備助成金 ~先に設備投資していても事後的に適用可能!~
経営ワンポイント2025年9月26日令和7年分 年末調整の注意点
個人の節税2025年8月28日ふるさと納税するなら、10月の制度改定前に!
個人の節税2025年7月31日大幅節税と福利厚生充実を両立! 「はぐくみ企業年金」

無料相談のお問い合わせ
ご質問などお気軽にお問い合わせください






