配偶者控除等申告書 年末調整で今年から新たな書類

こんにちは。石川県金沢市にある税理士法人のむら会計、公認会計士・税理士の野村です。

あっという間に年末が近づいてきて
今年も年末調整の時期ですね。

以前、ニュースレターでも触れた内容ですが
配偶者控除に以下の改正がありました。

・合計所得金額1,000万超の納税者は適用不可に
・納税者の所得金額に応じて控除額が逓減

また、配偶者特別控除
(配偶者控除と似たような性質を持つ制度)についても
以下の改正が行われています。

・対象となる配偶者の合計所得金額の上限が123万円に拡大
・納税者の所得金額に応じて控除額が逓減

その結果、年末調整時に必要な書類が

<従来>
① 給与所得者の扶養控除等申告書
② 給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書

<今年から>
① 給与所得者の扶養控除等申告書
② 給与所得者の保険料控除申告書
③ 給与所得者の配偶者控除等申告書

と、従来2つの書類でよかったものが
3つの書類となります。

今回は年末調整にフォーカスしてポイントを記載します。

給与所得者の扶養控除等申告書(マル扶)のポイント

マル扶について、H30年分から改訂がありましたが
改めてポイントを記載します。

源泉控除対象配偶者

源泉控除対象配偶者の欄には
給与所得者(合計所得金額が900万以下、給与収入だと1,120万以下に限る)と
生計を一にする配偶者(青色専従者を除く)で
合計所得金額が85万(給与だけだと150万)以下の人を記載してください。

障害者 同一生計配偶者

同一生計配偶者の欄には
給与所得者(所得制限なし)と
生計を一にする配偶者(青色専従者を除く)で
合計所得金額が38万(給与だけだと103万)以下である人を記載ください。

給与所得者の保険料控除申告書(マル保)のポイント

書式について
「配偶者特別控除申告書の欄がなくなった」という変更はありますが
本質的な変更点はありません。
これまで通り記載ください。

年末調整に必要な書類が
従来2つでよかったものが3つになった
という記載をしましたが
「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」
という1つの書類が
「保険料控除申告書」と
「配偶者特別控除等申告書」の2つの書類に分断された
というのが中身となります。

給与所得者の配偶者控除等申告書(マル配)のポイント

この書類が
今年から新たに加わった書類です。

配偶者控除等を受ける際には必須の書類となっていますが
専門家の私が見ても
最初、どうやって記載したらいいか悩むような書式でして。。。

以下画像を見ながら文章を追っていただければと思います。
なお、説明の都合上
「フルタイムの夫が、パートの妻を配偶者控除しようとした場合」という想定で記載します。

STEP1

画像中段①の
「あなたの合計所得金額(見積額)」を記載します。

フルタイムの夫側の所得です。
夫の所得金額で
配偶者控除等の額が異なるから記載が必要となります。

(1)Ⓐに年収を入れて
(注)にあるように裏面を見ながら所得金額を出します。
別紙だと年収700万で、所得510万が結論です。

STEP2

画像最上段②の流れで
510万を最上段に転記します。

判定として
「900万円以下」「900万円超950万以下」「950万円超1,000万円以下」の
いずれかにチェックを入れます。

今回は510万なので
900万以下にチェック。
区分ⅠはAとなります。

なお、夫の所得が
「1,000万超」なら配偶者控除等が使えないので
この書類は記載不要ということになります。

STEP3

画像最上段一つ下の③の流れで
パートの妻の配偶者情報を記載します。

「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」は
年収でなく所得であるため
裏面を見ながら
年収から所得に変換する必要があります。

なお、パートの所得しかなく
年収161.9万以下なら
年収から65万を差し引けば数値は出ます。

仮にパート収入100万でしたら
「100万-65万=35万」という形です。
画像だと52万となっており
判定として「38万超85万以下」で
区分Ⅱは③となります。

STEP4

画像最下段④の流れで
区分Ⅰの結論であるA
区分Ⅱの結論である③の交点である38万が今回の結論になり
配偶者特別控除が38万となります。

まとめ

年末調整で必要な資料の解説をしましたが
いかがでしたか?
複雑すぎる、という感想になるかと。

報道によると、年末調整は将来
政府がネットで完結させるようにするとのこと。

それにあわせて
もっとシンプルに一問一答形式で回答すると
年末調整に必要な書類が
自動的に作られるような仕組みになることを切望します。

軽減税率の問題もそうですが
経営者がビジネスに集中できる環境を作れるよう
もっと配慮して欲しいものです。

また、石川県で、年末調整について悩んでいる方は、石川県金沢市にある当税理士法人にお声がけください。

この記事を書いた人

野村 篤史税理士法人のむら会計 代表
金沢で50年続いている会計事務所、税理士法人のむら会計を運営。
ITの知識・金融機関監査の経験を生かし「関わる人の納得いく決断と安心を誠実にサポートする」ことをミッションに活動している。

【主な保有資格】
公認会計士 登録番号26966 
税理士 登録番号125179 

【著書・掲載実績】
図解でざっくり会計シリーズ2 退職給付会計の仕組み(中央経済社)
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