会社設立を専門家にお任せしても起こりうる「悲劇」

会社設立

会社設立で起こる、取り返しのつかない悲劇があることを、あなたはご存知でしょうか?

会社設立を「専門家」に依頼すると、そこはプロ。手続きを素早く進めて、すぐに会社を設立してしまいますが、「専門家」というだけで何も吟味せずに会社設立を依頼して、果たして、本当に何も問題ないのでしょうか。

「専門家に依頼しているのに、問題ないかとはどういうこと!?」

という疑問も、もっともなのですが私たちの経験から、会社設立後に取り返しのつかない「悲劇」に気付く可能性があるのです。

会社設立に潜んでいる「悲劇」

例えば、以下のようなケースで会社設立の手続きを進めると致します。

  • 会社設立時の資本金は 1,000万円
  • 会社設立日は 10月 1日
  • 事業年度終了日は、業界の繁忙期である 12月が終わる 12月 31日
  • 2つの事業を営んでおり、A事業は年商 800万円、B事業は年商 400万円。会社設立で A・B事業ともに法人で行う予定

会社設立の手続き自体はこの条件で進めてもなんら問題なくできるため、大半の専門家は何の疑問も持たずに手続きを進めるはずです。

しかし、会社を設立した後の税金について考えると、再考すべき幾つもの問題を抱えている条件なのですが、お気づきでしょうか?

会社設立時に気を付けるべき 5つのポイント

会社設立後に、私たちが顧問として関与することになった場合に良く驚くのが、会社設立にあたって、当たり前のように検討すべき税金について検討がなされていなかったというケースが少なくない事です。

  1. 資本金
  2. 事業年度の期間
  3. 事業年度の開始時期
  4. 会社設立日
  5. 会社設立時の事業範囲

これら 5つが上記事例で気を付けるべき点になるのですが、適切な専門家に依頼しないと、あなたの会社設立に「悲劇」が生じる恐れもあります。

私たちは、適切な専門家が関与しなかったために発生する「悲劇」をなくしたいと考えております。

是非、上記事例を踏まえて以下内容の解説をご確認いただきまして、「法律」と「税務」両方の観点で会社設立をご検討いただくことを推奨致します。

1. 資本金について

会社設立にあたって、資本金はいくらが適切なのでしょうか? 事業の安定性を考えると多いに越したことはないので、会社設立の専門家は、クライアントが考えている資本金の額で手続きを進めてしまいがちです。

しかし、税法上の観点からすると 1,000万円の資本金の額は、どうしても取引関係上必要という場合を除き、お薦めいたしません。

なぜなら、資本金が 1,000万円以上となると、税金の負担が色々と増えるからです。

消費税の問題

影響が大きいところで、消費税の免税事業者でなくなり、納付義務が発生してしまいます。

細かい規定が色々とありますが、一般に会社設立後の 2年間(2事業年度)は、消費税の免税事業者に該当します。

免税は小規模事業者に対して、会社設立直後は、消費税計算の手間を省いてあげようという国の配慮です。

そのため、資本金を 1,000万円以上に設定してしまうと、資本金の額から「小規模」でないと判断され、免税の優遇措置がうけれない結果となってしまいます。

住民税の問題

他にも、資本金が 1,000万円超の場合は、住民税の均等割が 7万円から 18万円と倍以上にまで増加するデメリットもあります。

上記事例では、資本金を 1,000万円に設定していましたが「取引関係で必要な場合を除き、資本金は 1,000万円未満」が節税のための鉄則となります。

2. 事業年度の期間

事例では、会社設立が 10月 1日で事業年度終了が 12月 31日のため、最初の事業年度が 3ヶ月だけとなります。

形式的な会社設立手続きでは、3ヶ月であっても何ら問題ありませんが、税務上は大きな損失が発生します。

「1. 資本金について」で説明したように、資本金が 1,000万円未満だと原則として消費税は 2事業年度は免税に出来ますが、このケースだと、第 1期は 3ヶ月、第 2期は 12ヶ月の合計で 15ヶ月しか、消費税の特典を受けれなくなってしまいます。

例えば年間の消費税納税額が 300万円にもなる事業者を法人成りしたケースだと、
「300万円 ÷ 12ヶ月 × 9ヶ月 = 225万円」の消費税免税を逃した事になり、とても大きな損害となってしまいます。

これを未然に防ぐためにはどうすればよかったのでしょうか?

例えば、事業年度の終了を 9月末とすれば、1期目が 10月 1日から 9月末となり、1年間の事業年度が確保出来ました。

そうかといって、単純に初年度をなるべく 1年間に近い事業年度をとれば特かと言うと必ずしもそうとは限りません。会社設立時の消費税に詳しい専門家の意見を聞かないと 1年間の事業年度とした結果、損をするケースすらもあります。

会社設立においては、消費税の観点も考えて、「最も免税期間が長くとれるように、事業年度の期間を決定する事」が節税のために重要となります。

3. 事業年度の開始時期

会社設立にあたって、事業年度をいつから開始するかを検討することは重要です。

会社設立を検討していると「今すぐにでも会社を設立したい!」と思う気持ちになるのはわかりますが、どうしても今すぐ会社を設立しなければならない事情がなければ、事業年度の開始時期も最適な時期を選びましょう。

では、いつから事業年度を開始するのが最適なのか? それは「年間で一番売上(利益)が出る時期」からです。

例えば、12月が繁忙期で売上が上がる次期であれば、事業年度開始は 12月が理想となります。

会社設立の手続き上は事業年度開始がいつであっても問題になりません。「税金」を考慮しない専門家の場合は「1月に会社を設立したい」と希望があれば特に検討もせずに「1月に会社設立、12月末が事業年度終了日」の形で設立することになるでしょう。

しかし、税金の観点からはあまりいい手ではありません。

その理由は「年間で一番売上(利益)が出る 12月が事業年度の最後にある」からです。

大きな黒字決算となり、決算対策もせずにそのままでいると、多額の税金を支払う必要があります。

1月に設立の場合、一番利益が見込まれる 12月が最後に来るため、その事業年度の決算予測が事前に立ちづらくなります。

仮に利益が大きく立つ 12月から事業年度を開始したとすれば、1年弱の期間をかけて決算対策をすることもできますが、その逆に、利益が大きく上がる次期が最後にあると、決算予測が最後まで立ちづらく、適切な決算対策もとりづらいのです。

また、税務上の決まりで、役員報酬は事業年度開始から原則として 3ヶ月以内に決定する必要があり、一度決めた役員報酬は特別な事情がある場合を除き、1年間変更することができません。

役員報酬はその年に計上されると見込まれる利益も検討した上で設定することが節税に重要ですが、この観点からも、事業年度開始後 3ヶ月以内に利益が大きく上がる期があると、節税を最大限得られる役員報酬の設定ができ、会社設立のメリットを生かすことが可能になるのです。

会社設立は、「思い立ったら吉日」という考えでなく、「一番売上が上がる月からスタート」が理想です。

4. 会社設立日

「12月に会社を設立する」としても、さらに細かい日にちはいつがよいのでしょうか?

手続き上は特に制約がないため、法務局がお休みの日を除きいつでも手続きができます。

しかし、税金のことを考えると会社設立を 1日にすることは避けた方がよいです。

なぜなら、住民税の均等割は、会社設立を初日とすると 1ヶ月分納付が必要なのですが、2日以降だと、その月分は全額免除されるからです。

たとえば、資本金が 1,000万円未満の会社の住民税の均等割は年間 7万円ですが、会社設立をその月の 1日でなく 2日にすると、たったそれだけで「7万円 ÷ 12ヶ月 = 約:6,000円」が免除されます。

気分良く月の初日から設立するというのもありですが、設立当初の貴重な資金を有効に使うためにも「設立日を月の 2日目以降にして、均等割を削減する」選択肢があることを知っておくことも重要です。

5. 会社設立時の事業範囲

会社設立時は、個人事業を全てそのまま法人に移行するのが通常です。

あなたが会社設立を依頼すれば、特に何の検討を加えることなく、手続きを進める専門家も少なくないかと思います。

しかし、税金のことを考慮すると、個人事業をすべて会社に移行すべきか、検討を加える必要があります。

税務署が納得するような合理的な説明ができれば、会社設立にあたって一部の事業のみを法人に移し、残りの事業をそのまま個人事業として続けることで、節税が図れるケースがあるからです。

売上高が 1,000万円を超えると、そのまま何の対策もしなければ消費税の納付義務が出てきます。

しかし、A事業が 800万円、B事業が 400万円で合わせて 1,000万円を超えるような場合、A事業だけ法人に移せば、法人・個人ともに売上が売上が 1,000万円以下となるため、消費税の納付義務がなくなるのです。

内容が明確に異なる事業を営んでいる場合は、「法人に移す事業」も検討した上で会社設立をすることで節税が図れます。

会社設立の専門家のあるべき姿

いかがでしたでしょうか。上記のように、会社設立には「法律」の知識だけでなく「税金」の知識も必要なため、司法書士などの「法律」の専門家だけでなく、税理士のような「税金」の専門家の関与が欠かせません。

「会社を設立するだけだから、誰に頼んでも同じ」と考えていると大きな損をしてしまいます。

しかし、会社設立にあたって「税理士」が「最初から」「直接に」関わらなかったために、税金の観点が全く抜けた会社設立をしてしまい、私たちが関与した時にはもう既に手遅れ…という「悲劇」も見てきました。

あなただけは、このような「悲劇」に陥らないために、会社設立をする際には必ず「法律」「税金」両方の会社設立手続きに精通した専門家に依頼することをお薦め致します。

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